君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「王子さまじゃありません。アルベール様です」
「フィーの恋人?」
「ちっ、違います! ……昔の……知り合いです。久々にお会いしたのですが、いろいろと気遣ってくださって」

レイの顔に一瞬、影が差したように見えたのは間違いだろうか。

「フィーが彼の恋人になりたいのなら……。大丈夫。さっきの件は効果的だったと思うよ」
「? どうしてそう思われるのですか?」
「あいつはカドラスと同じニオイがするから」
「ニオイ?」
「同じような人間ってこと」

カドラス様とアルベール様が似ている?
年も外見も社会的地位も全然違うのに?

「まぁ、明日わかるよ」

自信満々に答えるレイに、フィーはそれ以上何も聞けなかった。
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