君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
次の日の朝。

食堂の入口になぜかアルベールが立っていた。
フィーと目が合うと、温かい笑顔で手を上げた。

「おはよう、フィー。ぼくも朝食がまだなんだ。一緒にどう?」

待っていてくれたと思いたかった。
少なくとも誤解されていないと信じたい。
半信半疑だったレイの言葉が、フィーを安心させ、力を与えてくれるようだった。

「昨日はすまなかった」

朝食をテーブルに置き、席に着くか着かないかの時にアルベールが口火を切った。

「戸惑っただろう? 醜態をさらしてしまって恥ずかしい限りだよ」
「いえ、そんなことは……」
「ずっと、気になってたんだ。怖がらせてしまったんじゃないかと」
「アルベール様を怖がるだなんて。そんなことありません!」
思わず言葉に力が入ってしまう。


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