君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
おととい、手紙が届いた。

『2日後、イルタ大教会の謁見の間まで来られたし。ただし、この件は他言無用。庁内に入る時も同様。同封の通行許可証にて手続きされたし』

教王庁に呼び出させる理由など全く心当たりがなかった。考えても考えても答えが浮かばなかった。

教王が亡くなった2日後にこの手紙が届き、2日後に登庁するというのも性急すぎる。教王の葬儀などで多忙であるはずなのに、なぜこの時期に内密で動くのだろう。

文末に大司教カドラス・ソーシアスという落款がなければ、手のこんだタチの悪いいたずらと思うところだった。
実は今でも半分はそう思っている。
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