君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
パタンとドアが閉じる音がした。
二人が隣の部屋へ移動したようだった。

室内を伺いながら、フィーは衣装室から出た。

シーツは波を打つように乱れ、枕は床に落ちていた。たった今まで起こっていた事が赤裸々にベッドに描かれ、そのまま残されていった。
女性の声の幻聴まで聞こえる気がした。

フィーは新しいシーツを衣装室の床に敷き、そこへ横になった。万が一のために身を潜めるべきだと思ったし、何よりあの上で寝る気持ちにはならなかった。
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