君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「双頭の龍の紋章。あれの意味知ってる?」
「向かいあって、王家と教王様が同じ未来を見つめているということですよね?」
「だったら、肩を寄せ合って同じ方向からその先を見てもいいだろ?」
レイの言わんとしていることがつかめない。

「向かいあうのって、『対立』でもあると思うんだよな」
「対立?」
今での自分の常識や知識とは全く違う物の見方に、フィーは新鮮な驚きを感じた。

「この国で一番偉いのは?」
「国王様です」
「じゃあ、人気があるのは?」
「……教王様……ですか?」
「だろ? そこなんだよな」
わかるように、話しの糸口を垂らしてくれているらしい。

「教王は、『予言で国を守る』唯一の存在だから神聖視されるし、人気も高い。それが国王にとっては脅威だ。自分の求心力に関わるからな」
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