君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「カドラスが俺のことを報告しないから、国王もイライラしてたんだろうな。使者を送った途端、王女をよこしただろ? さすがに国王が出向くわけにはいかないからな」
「レイ様が王宮へ行かれなくてよかったのですか?」
「そこが『偵察』なんだよ」
挑発的に笑う。

「王女が来ると言えば、こちらは拒否できないだろ。教王の寝室だろうが風呂場だろうが、どこにでも立ち入ることができる。教王庁が王家の監視下にあるって釘を刺してるんだよ」
「なんだか……怖いです」
「権力があるところには必ずつきものだよ。……フィーだって、気をつけろよ」
「え!? 私ですか!?」
思いもよらない一言だった。
自分には無縁の世界だと思って聞いていたのに、急に舞台に引き上げられた感じだった。
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