君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「国王へ報告したからな。次は庁内だ。近日中に俺の事を公表するだろう」

ついに、レイの存在が明らかになる。
ずっと秘密にされてきて、庁内の誰もがこの日を待っている。きっとすごい騒ぎになるだろう。

そして、レイとの穏やかな生活もこれで終わる。
何人もの正式な従者がレイのお世話をかいがいしくこなし、執務をサポートしていくのだろう。

急に力が抜けてきた。

犬はまだ少し苦手だが、レイとの生活は楽しかった。二人っきりで寝食を共にしていたせいか、普通に暮らすよりもずっと密度が濃く、過ごした日数以上の信頼関係が築けた気がした。
少なくても、フィーはそう思っている。


「フィーは教王の最側近になるんだからな」

「え?」

フィーの胸中をよそに、レイが思いもよらない言葉を放った。
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