君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
(そういえば、昨日も。もしかしたら……)

昨夜も同じように、夢うつつの中で女性の声を聞いた気がしていた。今日ほどはっきりしていなかったが、今思えば、あれは淫らな歓声だったのだろう。


新教王公表から1週間。

内密に暮らしていた今までとは環境が激変していた。
祝辞を述べに来る者、業務報告に来る者、身の回りの世話をしに来る者。目的は違えど、昼間はたいていレイの周りに誰かがいた。
夜だけは平穏な時間を過ごせると思っていたのだが、そうではなかったらしい。


それにしても。

(いつお約束をされたのかしら)

どうやったらこんなに早く、こんな展開になるのだろう。体を重ねるほど親密な女性なんていなかったはず。
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