君のために未来を見よう〜教王様の恩返し〜
「それで……私はどなたのお世話をさせて頂くのでしょうか……」
イルタ大教会の中で、教王に次ぐ権力者と言われるカドラス大司教が『あるお方』と敬語を使う相手。想像がつくが、まさかという思いの方が強く、恐れ多くてその名を出すのもはばかられた。
「このお方だ」
カドラスが視線を横に動かした。
玉座のすその方から何か黒い大きな物が飛び出してきた。
四つん這いで、全身が黒い毛で覆われた動物。
「お、狼!?」
「犬だ!!」
カドラスが細かい事を突っ込んできたが、フィーはそれどころではなかった。
犬だろうが狼だろうが、そんな事は些細な違いだった。
四本足で、口か鼻かどちらかわからないが、とにかくそれが突き出ていて、尻尾があって。
フィーがこの世で一番苦手な動物だった。
しかも、巨大。
カドラスの紹介の後にタイミングよく出てきたその犬は、お行儀よく玉座の前でふせをして、くつろいでいるようだった。
純黒の長い毛が美しく、鋭い顔つきだった。きっと犬の世界でも美形に入るのだろう。
イルタ大教会の中で、教王に次ぐ権力者と言われるカドラス大司教が『あるお方』と敬語を使う相手。想像がつくが、まさかという思いの方が強く、恐れ多くてその名を出すのもはばかられた。
「このお方だ」
カドラスが視線を横に動かした。
玉座のすその方から何か黒い大きな物が飛び出してきた。
四つん這いで、全身が黒い毛で覆われた動物。
「お、狼!?」
「犬だ!!」
カドラスが細かい事を突っ込んできたが、フィーはそれどころではなかった。
犬だろうが狼だろうが、そんな事は些細な違いだった。
四本足で、口か鼻かどちらかわからないが、とにかくそれが突き出ていて、尻尾があって。
フィーがこの世で一番苦手な動物だった。
しかも、巨大。
カドラスの紹介の後にタイミングよく出てきたその犬は、お行儀よく玉座の前でふせをして、くつろいでいるようだった。
純黒の長い毛が美しく、鋭い顔つきだった。きっと犬の世界でも美形に入るのだろう。