恋がしたい
世間は広いようで狭い
「遅くなってごめん」
慌てた様子で入ってきた人を見ようと顔をあげると、その人は飯島さんだった
(え?なんで?)
展開に頭がついていかない
(なんでここに?)
プチパニックに陥っている私にくまさんが紹介してくれた
「斉藤さん、こいつが俺の高校の友達の飯島たかひろだよ」
(あー····飯島さんだ)
「楓さん久しぶり」
すっごくいい笑顔だった、悪戯が成功したような顔してる。
「飯島さんお久しぶりです」
目は見れなくてすこし目線を外し、なんとか答えた
とりあえず乾杯しようって事になり、席について皆で乾杯する
「「「「かんぱーい」」」」
車で来ている人がいるのでジュースだけどね
落ち着いてからともこが聞いてきた
「二人は知り合いだったの?」
「イベントでよく買いに来てくれてて」
「ともこ こそ会ったことあったんだね」
「この間ね、楓のこと色々聞かれた」
何を聞かれたのか凄く気になるが今は黙っていた
ともこが安心したように笑顔で
「でも、知ってる人なら話せるよね。今回のことはまことから楓に紹介したい人がいるって言われてさ、人見知りだからどうかと思ったけど良かったよ」
ともこも私が大丈夫か心配だったらしい。
くまさんも説明してくれた
「前からともこから斉藤さんのことは聞いてて、ハンドメイドやってる事とか、たかひろに話してはいたんだけど、少し前から紹介してくれって言われててさ」
飯島さんも申し訳なさそうに謝ってくれた
「ごめんね。最初まことの話聞いてる時は気がつかなかったんだけど、最近イベント出なくなってから急に思い出してそしたら同一人物だって気がついたんだ」
3人から言われて、うつ向きながら言う
「怒ってないです。驚いてただけで」
っていうか隣の飯島さんとの距離が近い!
そっちで緊張しちゃうよ!!
さりげなくわからないくらいに離れるも距離が縮まなかった。
料理を注文した、皆で食べられる用にサラダ、刺身、揚げ物など。
サラダは取り皿で取り分けてあげた!
いつもならともこがやっていたが、飯島さんに良いところ見せたくて頑張った。
よく聞いたら飯島さんは高崎に一人で住んでるらしい。
まさか二人とも群馬だなんて。
東京のイベントばかり出てて、そこまで毎回来てくれる飯島さんに感謝しかない。
今はこの出会いを純粋に楽しむ事にした。
今度は4人で遊びに行こうってはなしになり、ともこがネズミの国に行きたいって提案した。じゃあ俺が車出すよとくまさんが言ってくれて簡単に決まってしまった。
さらに連絡とるのに不便だからとグループLINEまで作ってもらった。私はやり方がわからないので飯島さんにやってもらった。
飯島さんが私に顔を近づけて、反対側の二人に聞こえないように、こそっと小さい声で言ってきた
「メールアドレスと電話番号も教えて?」
私は飯島さんとの距離の近さに驚き、頷くので精一杯だった。
(近い近い近い)
「ありがと、じゃあ俺のも登録しておくね」
今日は凄い!知らない間にLINEや、メールアドレスや電話番号まで知ってしまった。
食事が一段落して会計になり、じゃあ割り勘にしようかって言ったんだけど、男二人が出してくれる事になった。
悪いからって言ったが、そこは譲れないと言われ素直をともこにお礼を言った。
帰りになり、じゃあと帰ろうとしていたら飯島さんから提案があった。
「楓さんは俺が送っていってもいい?」
(えっ!!)
驚いて飯島さんを見るが話はどんどん進んでいく
「じゃあ俺はともこの車で送ってもらうよ」
「じゃあ飯島さん楓の事よろしくお願いします」
私がえっ?えっ?と思っている間に決まっていた
くちを挟む暇もない!
まるで、皆で打ち合わせしていたかのようだった。
じゃあねと言って二人はさっさと帰ってしまった。
二人の背中を呆然と見ていると
「楓さんこっちだよ」
「はーい」
二人きりかぁー大丈夫かな・・私。
店から少し離れたところに車がとめてあった
黒で普通車だった。
中に入ると私が乗っている軽自動車と違って広かった。
芳香剤使ってるのか、爽やかないい匂いだった。
シートベルトを締めて「お願いします」って言うけど中々発進しなかった。
不思議に思ってると、飯島さんが真剣な顔で言ってきた
「帰る前にドライブしない?」
「え?」
「夜景の綺麗な所知ってるんだ。行こうよ」
本当は帰りたかったが、なんでだろここで断っちゃいけない気がする
デートなんてしたことない私は夜のドライブとか一度でいいからしてみたかった。
「いいですね」
笑顔で答えるとホッとしてたように笑顔で返してくれた
(やっぱり早まったかな・・・)
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