透明な毎日だった。
それから一学期も少し経って、席替えがあった。
なんとそこで彼女と僕は隣の席になってしまったのである。
「光くんは、名前の意味って聞いたことある?」
「ない、けど。谷染さんはあるの?」
「あるよ。 当て字だって。
まぁ、澄んでない水なんて泥水だもんね。
私の名前に意味なんかない。
だから生きてることにも意味なんて感じないんだよ。」
そんなことない、とは言えなかった。
僕だって同じ事を考える時があったから。
「いい名前じゃん。水澄。」
それから僕は彼女を水澄と呼んだ。
< 3 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop