あずゆづ。2

私が慣れないお化粧をしたのだって、

ゆづくんがどんどんかっこよくなっていくから

置いて行かれるんじゃないかって

不安だったからなんだよ?


そのへんを、わかってもらわないと困りますよ、ゆづくん…。


「それにしても相変わらずてめえは支度が遅いよな」


遠くをぼんやりと眺めながらゆづくんが呟いた。

たぶん、朝私が出てくるのが遅いと言いたいんだろう。


「でも、ゆづくん待っててくれたよね」

「待ってねえよ、自惚れんな」

「だってゆづくん家逆方向……」

「たまたま用事があったんだよ!!」


ちょっとだけ

ほっぺを赤く染めたゆづくんは

ふいっと視線を逸らしてしまった。


ゆづくんの言う『たまたま』が、

毎日続いているのが不思議だけれど。


恥ずかしがり屋さんだなあなんて思ったらおかしくなって笑ってしまった。



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