あずゆづ。2
「………」
私は立ち上がって、またゆづくんの傍に近寄った。
「んだよ包丁持ってんだから近寄んなアホ」
「ご、ごめん…」
きゅっと、後ろからゆづくんのワイシャツの裾をつかむ。
―――トントント……
規則的な音がふいに止まる。
「……邪魔しない、から……」
頭を、大きなゆづくんの背中にこつんと当てる。
「……傍にいても、いい?」
「……はああああ~……」
なんとも長いため息をついた目の前の人。
ああやっぱり迷惑だったかなあって思った時だった。
「なら手ェ洗って手伝えアホ」
「…え?」
「突っ立ってても邪魔だから手伝えっつってんだよアホ!何度も言わせんな!!!」
クワッと牙を向いたゆづくんに、
私は「はいいいっ!!」と返事をして手を洗った。