あずゆづ。2

昨日。

第三会議室の中から聞こえてきた声と同じ。

とっさに、私はそちらを向いた。


「!」


その人は、教室のドアに寄りかかるようにして立っていた。

スカートは私より短い。

足も私より細い。

化粧も私より濃い。

目の下がチークで真っ赤になっている。

肩にかかるくらいの長さの髪は、明るめの茶色。


…あの人が、ゆづくんを脅した人だとすぐにわかった。


「…っ」


私はその人の方へ向かおうと足を前に出した。


「っ」


しかしそれより前に、ゆづくんが私の前に立ちふさがる。

目の前にはゆづくんの大きな背中だけがうつった。


「ゆ…」

「待ってろ」

「え……」



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