あずゆづ。2
***

私たちはその女の人と第三会議室に向かった。

ここにはあんまり近づきたくなかったけど…。

理由がどうあれゆづくんがこの人と放課後に二人っきりでいたと想像すると、気分が悪い。


「二人、一緒に住み始めたんでしょ?」


おもむろに口を開いたその人は、自分の携帯の画面を私たちに見せてきた。


「…っ」


そこには、アイスをほおばる私の姿。


「ほんと、バカみたいに口開けて、色気ゼロだね、梓ちゃん♪」

「な…っ」


そ、そりゃああなたみたいな色気は確かにないですけど…っ!?

久しぶりに食べたアイスがおいしかっただけなんですけどおお!?


「ね、ゆづ」


そしてその女の人は、ゆづくんを『ゆづ』と読んで視線をゆづくんに移した。


「呼ぶな」


……怒ってる。

私も固まってしまうくらいにゆづくんの声は低かった。



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