あずゆづ。2
お ま け
―ゆづのアパートにて―
「よし!!私もゆづくんにま負けずにおいしい料理つくるぞ!!!」
梓は、いつか買った料理本を手に取り
腕まくりをして
張り切った様子でキッチンに立つ。
「なになに?
『茹でた野菜を一口大に切って
挽肉を混ぜてフライパンで……』
洗い物多いな、別のにしよう。
『豆腐を茹でて…』
茹でるの多いな、やめよう。
『フレンチビネガーの…』
ない!他の!!
『素揚げにした…』
無理ですな」
ふう。
目を閉じ、小さく息をついた梓は料理本をぽんっと閉じた。
「ゆづくん」
そして、ソファでくつろぐ優樹に声をかける。
「あ?」
視線だけをこちらに向けた彼に、梓は料理本を見せた。
「これ、不良品だった!」
真顔でこう言うのだから、優樹はもちろん。
「………アホ」
呆れていつもの勢いなく、片手で顔を覆った優樹だった。
……………おしまい。