あずゆづ。2
壁に背中をつけて
少し腰を丸めて前傾姿勢になって
その大きな手には携帯が握られていて
赤い瞳はその画面を見つめていた。
白に近い銀髪は春の風に乗ってふわふわとなびいて。
重力に逆らった髪型はいつも通りだ。
まだそんなに暖かいわけでもないのに
今日も半袖のワイシャツ姿で。
袖から伸びる腕はほどよく筋肉がついており
その姿は一瞬で私の心をわしづかみにした。
「おはよっ、ゆづくん!!」
『ゆづくん』
私にそう呼ばれたその人は、
つり上がった目をこちらに向けて口を開いた。