あずゆづ。2

そう聞き返すと、いらっとしたのだろう。

クワッと牙をむいてきたゆづくん。


「てめえ…っ!!

悠太に腕捕まれた瞬間俺の方見たろうが!!」


一年の時、喫茶店で野郎に絡まれた時と、同じ顔だよっ!


そう言い放ったゆづくんはめちゃくちゃ機嫌が悪いご様子。

「え」


…あれだ。

ゆづくんのバイト先の喫茶店のことを言ってるんだ。


あのときも、喧嘩してたはずなのに

今みたいにゆづくんが助けてくれたんだ。


「てめえもボサッとしてんじゃねえよクズ」

「くず…」


また新しいあだ名だ……。


「……」


それにしても…まだ顔の熱が取れない。


『梓』


あんな声で、耳元で囁かれたの…初めてだったから。


< 28 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop