あずゆづ。2
そう聞き返すと、いらっとしたのだろう。
クワッと牙をむいてきたゆづくん。
「てめえ…っ!!
悠太に腕捕まれた瞬間俺の方見たろうが!!」
一年の時、喫茶店で野郎に絡まれた時と、同じ顔だよっ!
そう言い放ったゆづくんはめちゃくちゃ機嫌が悪いご様子。
「え」
…あれだ。
ゆづくんのバイト先の喫茶店のことを言ってるんだ。
あのときも、喧嘩してたはずなのに
今みたいにゆづくんが助けてくれたんだ。
「てめえもボサッとしてんじゃねえよクズ」
「くず…」
また新しいあだ名だ……。
「……」
それにしても…まだ顔の熱が取れない。
『梓』
あんな声で、耳元で囁かれたの…初めてだったから。