あずゆづ。2
***

着いた先は、屋上だった。


「ね、もうHR始まるから戻らない…?」


優雅に寝転がって空を仰ぐゆづくんに

恐る恐るそう声をかけると。


「1限くらいサボったっていーだろ、たまには」


ふあああっとあくびをするゆづくんは

私をきゅんとさせるのには十分だった。


「…つーか、来いよ」

「え」


上半身を起こして、私を見るゆづくん。

その赤い瞳に、もう何度見惚れてきただろうか…。


あああ吸い込まれる。


私はまさしく、吸い込まれるようにゆづくんの元へ近寄り

膝を折って、すとんと腰を下ろした。


「……」

「……」



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