あずゆづ。2
***

「止まったかよ」

「面目ないデス」


あのあと私をすぐに保健室に運んでくれたゆづくん。

保健室の先生は不在だったので付き添ってくれています。


ベッドに腰掛ける私と

少し距離を取った位置にある丸椅子に腰を下ろしているゆづくん。


二人っきりのこの状況に

いまだ鼻血が収まる気配なんてありませんでした。


「あ、あのゆづくん」

「あ?」

「ジャージ、ありがとう」

「……」


右の足首を左膝の上に上げ、右膝に肘をついているゆづくんはやっぱりかっこいい。


「無頓着すぎて呆れたわ」


私が、ゆづくんがジャージを貸してくれた理由に

やっと気づいたことを察したのか、

ふうっとため息をついて目を逸らした。



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