あずゆづ。2

「ねえねえ知ってる?」


私の席から遠い教室の奥から、クラスの女子の声がふと聞こえてきた。


「荒君ってさ、隣のクラスの子と最近仲良いらしいよ!!」

「………っ」


ずぐんと心臓が重くなった気がした。

……ただの噂だ、ただの噂だ。

なにかの間違いだ。

聞いちゃだめだって言い聞かせれば言い聞かせるほど

皮肉にもその人たちの声は鮮明に聞こえてしまう。


「え?でも確かうちのクラスの子と付き合ってるんじゃなかったっけ?」

「…あっ」

「い、行こ」


そしてやっと私の存在に気づいたのか、

そそくさと教室から出て行ってしまった。


「……」


ゆづくんが、他の子と仲良くするはずない。

私はゆづくんのこと信じてるもん。



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