あずゆづ。2
わざとらしくいやらしい声を出して俺の名を呼ぶ。
「えっ……!?」
そしてドアの向こうからは明らかに動揺した声が聞こえた。
「てめ…っ!!!」
思わず女の首に両手をかけて黙らせようとするが
女は頬を赤らめて続けた。
「やっ、痛いよゆづ、優しくして…?」
「っ」
ざけんな…!!
ドアの方を見れば、その陰はなくなっていた。
「……あーあ、梓ちゃん行っちゃったね?」
満足したのか、普段通りの声に戻ったそいつをにらみつける。
…馬鹿野郎はどっちだ。
「……やるならやれよ」
俺は拳を握りしめる。
「てめえがどんな手ェ使って来てもあいつは守る」
「っ」