あずゆづ。2

「う……っ、ふえ…」


嗚咽が漏れて、体の力が抜けて

膝が折れそうになったときだった。


「梓!!!」


切羽詰まった声で、私の名前が呼ばれた。


「……っ」


後ろを見なくてもわかる。

息づかいが荒い。

走ってきてくれたんだね。


私は呼吸を整えて、ゆっくり振り返る。

泣くな。

泣くな。


「ゆづくん」


…笑え、私。


震える口角を無理矢理上げて、ゆづくんの名前を呼んだ。

ゆづくんは私を見て、目を見開く。


もう、泣いてるって思ってたんでしょ。



< 86 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop