いじめっ子には愛の鉄槌を
「うわー。のび華が来た」
「チビでのろまなのび華が来た!」
あたしは砂場セットを持ったまま突っ立っていた。
公園には大きいお兄ちゃんが三人、あたしを見て面白そうに笑っている。
お兄ちゃんたちを無視して砂場で遊ぼうとするのだが……
「正義の味方、ハイパーキーック!!」
積み上げた砂を壊されてしまう。
砂があたしに襲いかかり、お気に入りの服が黒く汚れた。
「のび華、砂場よりも鬼ごっこしようぜ」
「無理無理。のび華、足遅いから」
「ははーっ!だよなぁ!!のろまだからな!」
あたしを馬鹿にして笑うお兄ちゃんたちを見て、必死に涙をこらえていた。
あたしの背がもっと高ければ。
あたしの足がもっと速ければ。
そして、もっと勇気があれば……