いじめっ子には愛の鉄槌を
「なあ、桃華」
淳太君が不意にあたしを呼び、どきんとする。
桃華なんて呼ばれたら、心臓が飛び出しそうだ。
それほどまでに、あたしは淳太君の一挙一動に狂わされる。
淳太君はすごく優しい顔であたしを見て……
そして、いつもの仏頂面に戻る。
さっきの笑顔は幻覚かとがっかりする。
だけど、たまに見せる陽だまりのような笑顔がもっと見たいと願わずにはいられなかった。
「どうしたの?」
淳太君に聞くと、
「なんでもねぇ」
彼はぶっきらぼうに言って立ち上がる。
「仕事も大詰めだ。
それに今日は送別会だ。
よろしくな、下僕」