いじめっ子には愛の鉄槌を






あたしは昔から平凡な女の子だった。

授業中発表もしないし、委員長もやらない、ただ頭のいいだけの女の子だった。

そんなあたしは当然、音楽業界になんて興味はなかったのだ。

『将来の夢はお嫁さん』

文集にはそう書くような女の子だった。

その簡単そうで難しい夢すら叶えることが出来ないあたし。

だって……

ようやく好きになった淳太君は三年間もシンガポールに行ってしまうから。

淳太君のことを考えると胸が悲鳴を上げ、目頭が熱くなる。

それを隠すかのように、あたしは目をごしごし擦った。



< 217 / 239 >

この作品をシェア

pagetop