いじめっ子には愛の鉄槌を
あたしは昔から平凡な女の子だった。
授業中発表もしないし、委員長もやらない、ただ頭のいいだけの女の子だった。
そんなあたしは当然、音楽業界になんて興味はなかったのだ。
『将来の夢はお嫁さん』
文集にはそう書くような女の子だった。
その簡単そうで難しい夢すら叶えることが出来ないあたし。
だって……
ようやく好きになった淳太君は三年間もシンガポールに行ってしまうから。
淳太君のことを考えると胸が悲鳴を上げ、目頭が熱くなる。
それを隠すかのように、あたしは目をごしごし擦った。