いじめっ子には愛の鉄槌を
そんなあたしに、赤木さんはまだまだ絡む。
「藤井さん、この後暇ならカラオケにでも行かないか?」
「あの……あたし、あんまり歌知らないです」
「君のお母さんたちの歌を歌ってくれればいいから」
「えっと……」
言葉に困った。
カラオケは嫌いではないが、今は行く気にもならない。
はやく家に帰って、淳太君との生活を噛み締めたい。
そんなことを思ってしまうあたしの耳に、
「赤木さん、藤井が困っていますよ」
大嫌いなはずなのに、胸を甘く焦がし、鼓動を速くさせ、頰を染めさせるその声が聞こえた。