いじめっ子には愛の鉄槌を
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「もうすぐ柊君のところに子供が生まれるらしいな」
お父さんが台所で料理を作りながらぼやいていた。
そんなお父さんの話を、ソファーに座ってお母さんが聞いている。
「柊君も昔からいい子だったよな。
桃華のことを妹みたいに可愛がってくれて」
「うん。桃華が下の階の淳太君たちにいじめられてるのを、いつも助けてくれてたよね」
淳太君。
その名前を久しぶりに聞いて、ビクッとした。
淳太君たちとは長らく会っていないけど、もう二度と会いたいとも思わない。
あたしをのろまだとかチビだとか言って、散々いじめた記憶しかないのだ。
それに比べて柊君は……元気で優しい笑顔の記憶ばかりだ。
あたしはそんな柊君に、ずっと淡い恋心を抱いていた。
だけどあたしの恋は実ることもなく、柊君は高校時代の同級生と結婚したのだ。