いじめっ子には愛の鉄槌を





酔っ払いのあたしの足がふらついて……大きく身体が揺れる。

必死に態勢を立て直そうとするがそれは後の祭りで、あたしは倒れこんでいた。

だけど、硬い床が迫る寸前、身体がふわりと浮いた。

そして、大きくて硬いものに抱きとめられる。

すごく優しくて、温かくて、胸がきゅんと音を立てた。

初めてだ、こんなにも身体が熱くて胸が苦しいのは。





だけど、



「危ねぇ奴だな」



耳元でその声がして、はっと我に返った。




なんと、あたしは淳太君に抱きしめられていて。

しかも、ぎゅうぎゅうと抱きしめられていて、心臓が止まりそうになった。

淳太君の身体はかたくて、ふわりといい香りもして、もっとこうしていたいなんて思ってしまう。

そんな自分に驚きつつも、渾身の力で淳太君を押しのけた。

そして、両肩を抱いて淳太君を睨んで震えていた。


< 77 / 239 >

この作品をシェア

pagetop