いじめっ子には愛の鉄槌を
酔っ払いのあたしの足がふらついて……大きく身体が揺れる。
必死に態勢を立て直そうとするがそれは後の祭りで、あたしは倒れこんでいた。
だけど、硬い床が迫る寸前、身体がふわりと浮いた。
そして、大きくて硬いものに抱きとめられる。
すごく優しくて、温かくて、胸がきゅんと音を立てた。
初めてだ、こんなにも身体が熱くて胸が苦しいのは。
だけど、
「危ねぇ奴だな」
耳元でその声がして、はっと我に返った。
なんと、あたしは淳太君に抱きしめられていて。
しかも、ぎゅうぎゅうと抱きしめられていて、心臓が止まりそうになった。
淳太君の身体はかたくて、ふわりといい香りもして、もっとこうしていたいなんて思ってしまう。
そんな自分に驚きつつも、渾身の力で淳太君を押しのけた。
そして、両肩を抱いて淳太君を睨んで震えていた。