きみいろ~そして二人は恋をする~

(不甲斐ない・・・。)

絶対に守ると誓った、唯一の存在。

目の前で起きたことが、本当に事実なのか・・・。
疑いたくもなる状況に、後悔の念が浮かび上がる。

しかし、クラウスは王子付きの秘書官。

後悔するより事件を集束することが、彼の役目なのだ、

現場に残った痕跡を拾い、クラウスは犯人像を描いてみる。
しかしこれだけでは、犯人像は浮かび上がらない。

過去に王宮で起きた暗殺事件と今回の状況を照らし合わせても、共通点が見いだせないのだ・・・。

手口に一貫性があるようにも、ないようにも思えるし・・・。
いかんせん、現場に残った痕跡が少なすぎるのだ。

(以前と同じ組織なのか?それとも違うのか・・・?)

調査しても、実体が見えてこない。
そして、事件現場に必ずあるはずの痕跡が、綺麗に消えている。

王宮内に協力者がいる用にも見えるけれど・・・。

相当方も相当警戒しているのは見て明らかだった・・・。


華やかに見える王宮の裏で・・・。

王位を巡り、王族や貴族の間では、権力争いが水面下で激化していた。

国民には見えない、アステル王国の抱える問題。

それは今に始まったことではなかった。

王族に生まれた時から付きまとう、現実であった。
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