きみいろ~そして二人は恋をする~
王の下した命令により、北部離宮にいた第三王子は10年ぶりに王都の地を踏んだ。
そして、第三王子としての地位を回復、王太子に任命されたのだった。
時同じくして、カルロス10世は病に倒れる。
政務全般を行うには無理が多く、療養の日々が必要となった。
そして、王太子は、自身で政務全般を取り仕切っていくことを決め、今に至るのだという。
王位継承権から離れていた政治も知らぬ王子、ろくに出来ぬ無能の王子。
貴族の大半はそう思い、無能ぶりを晒すのを期待していた。
しかし、多くの貴族たちは、その期待を裏切られることとなる。
王子の行う政務、決断は鮮やかなものであったのだ。
北部の辺境で育った王子は、民と共に生活を送っていた。
その身で王国内を見て回り、民の生活を体験していた。
それが、彼の行う政治のベースになったのだろう。
『民の生活を第一に』をモットーに、次々と新しい政策を打ち立てていった。
貴族の目を向けないわずかな場所も、気を配っていった。
それは王宮の外で育った王子だからこそできる采配でもあった。
多くの貴族たちは、その卓越した能力に驚き・・。
そして、王子の存在が増していくことを、認めるしかなかった。