きみいろ~そして二人は恋をする~
「王宮・・・?」
「そうだ。私はファルカス殿をお連れするよう、命令を受けた!」


目の前に現れた男の突拍子のない一言に、ユリアは目を丸くした。

ただの町医者風情が、王宮に呼び出されるなど、前代未聞である。

というか、何故父なのだろう・・・?
それなりに腕をもつ医者なり、薬剤師であれば、他にもいる。
王国最高峰の医学校を卒業した者、王立治療院で活躍する者、、国で修行を積んで戻ってきた者。
実力のある医師や薬剤師など、他に沢山いるはずだ。

それなのに、何故、下町に?
そして父に?
しかも、何故こんな真夜中に?

訳の判らない展開が続いて、ユリアはただ混乱するばかりだった

(・・・私ってお父さんのこと何も知らないんだな・・・。)

医師としての知識や技術を磨いてきたのか?
医師としてどう歩んできたのか?

とか・・・色々。

多くを語らない人だったし、疑問に思うことは沢山あったけど・・・。
聞けば何か壊れてしまいそうだったからあえて聞かなかった。

(なんで、今になって・・・こんなこと・・・)

ユリアの頭の中はぐるぐると渦を巻いていた。
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