きみいろ~そして二人は恋をする~
時間だけはただ静かに過ぎていった。
父ファルカスが呼ばれた意味はわからない、わかりたくもない。
ただ、父の助けを必要としている人がいる。
それは事実であり、ただ一つの真実なのだ。
でも、父が王宮に行くことはない。
その技術でその人を救うことも、知識を伝えることも、できないのだ・・・。
父ファルカスは、半年前になくなったのだから・・。
搾り出すように、やっといえた言葉は、
「・・・・無理ですよ・・・父はもういないんですから・・・。」
それだけだった・・・。
それしか言えなかった。
ユリアは表情を曇らせ、そしてうつむいてしまった。
父が亡くなってから、この半年、本当に必死だった。
仕事を得るにしても、父の名前は絶大だった。
けれど、それを引き継いだことで、最初はとにかく大変だった。
王立医学校を卒業していなかったユリアだったけれど、父の指導のお陰で、大抵の事には対応できた。
でもその反面、陰口も言われてきた。
『医学校も出ていない女性が、工房を運営している』
『女が医術の真似事をしている・・・』