きみいろ~そして二人は恋をする~
女性だから、父の娘だから・・・と。
笑ってごまかしていても、その言葉に酷く傷ついたものだった。
『ファルカスの娘』という看板は、それだけ大きなものだったのだ。
そして、それは目に見えない鎖で、彼女を縛りつけた。
同じ道には進んだからこそ、彼女に付きまとうもの・・・・。
『親の七光り』という言葉だった。
それでも信じてくれている人はいてくれた。
自分を見てくれる人はいてくれた。
けど、自信を持つことはどうしても出来なかった。
患者には見せられない。
不安が付きまとっていたのだ。
工房の中は、ただ静かに、時間だけが過ぎていった。
そしてその時間はまるでスローモーションのように、酷くゆっくり過ぎていった。
そんな中、沈黙を破る突拍子もない一言が・・・飛び出した。