きみいろ~そして二人は恋をする~
王宮へ到着すると、ユリアはクラウスに案内され、すぐにキエルと会った。
そしてすぐに殿下の状態を確認した。
解熱鎮痛剤のお陰で、熱と痛みは何とか抑えられている状態ではあったけれど、
あまりいい状態とはいえなかった。
辛うじて小康状態を保っているギリギリの状態と言ってもよかった。
それはつまり、治療に掛けられる時間があまり残っていない事を意味していた。
朝までに何とかできなければ、このことは公になる可能性がある。
そしてそれは、王国内に争いがあることを世に知らせてしまうことにも繋がる。
明け方までに残っている時間は、わずか3時間程度と言う状態だった。
クラウスは殿下の部屋の警護へ戻り、ユリアとキエルは王立治療院の調剤室に篭って
それぞれの出来ることで事態の収集を図ろうと動き出した。
「キエルさん、父の残した研究から仮説を立てた所、レシピの改良点を見つけられました。
確認してくださいますか?」
「レシピの改良点ですか?」
「はい、もしかしたら、単純な掛け合わせの問題なのかもしれなくて・・・」
「単純な掛け合わせ?」
クラウスと話した『治療の可能性』について、ユリアは手短に伝え、
改良ポイントを加えた新しいレシピを提案した。