きみいろ~そして二人は恋をする~

バルトは手を振りながら、中央街に向かっていった。

頼れる仲間達に声をかけてもらい、日々依頼をしている毎日で・・・。。
そして、依頼は日々変化していく。難しいことから簡単なことまで、幅は広い存在する。

そして、薬草の需要は常にあることを実感してしまう。
薬を必要とすると言うことは、それだけ人の病気もあるということなのだから・・・


薬剤師としての技術と父から教えてもらった医術。

若干18歳で、それだけの知識と技術を持ち者はそう多くない。
それが『生きるための力』となり、今を支えている。

それを教えてくれた両親には、ただ感謝しかない。

国の四季は様々で、住んでいる地域が違えば、空の様子も風の様子も大地の様子も違う。
土や水が変われば、そこに生える薬草もまた姿・形を変える。
薬草一つをとっても同じモノがないように、病気も同じモノはないのだ。

一人ひとりに個性があるように、病気の症状も表れ方も人によって違いがある。

『それを見極めて調剤しなさい。』――――

それは、いつも父がユリアに言っていたことだった。

普段は穏やかだったけれど、薬草や医学の事になると、人が変わったように厳しくなり・・・。
そして一切の妥協はせず、出来ることをただ黙々と行う。

それが、父の医師としての姿だった。

命を扱う仕事はそれだけ重いものだということを・・・。
そのために、日々の修練と学びが大事なのだと・・・。

医師として薬剤師として、その精神を徹底的に叩き込まれた。

そのお陰で、今のユリアがいる。


窓の外に広がる森の景色を見ながら、しばし一息をついたのち、工房の仕事に戻ることにした。

常連のお客さんは薬を取りに来たし、いつもおしゃべりをしにくるマーサおばさんも今日はこないみたいだ。
下町の治療院からの処方箋も今日はないし・・・。

そう思うと、これといって急いでやることもないことに気づく。

(ちょっぴり時間が空いたみたいだ・・・。)

いつもと同じ時間なのに、工房はとても穏やかで静かな時が流れていた。

こんな時は、やりたくても出来なかったことを行うのに絶好のチャンスともいえる。

(倉庫の在庫チェックもしたいし、あっあれもやりたいなー。でもアレをやるなら、こっちやらないと
バランスとれないかなー。でもでも、あれはどうかなー。本屋で参考書も探したいし・・・。
考え出したら、きりがないかも・・。)

普段こんなのんびりした時間が少ないだけに・・・。
何をしようかと考えれば、やりたいことが次々と思いつく。
でも結局はどうしようか悩んだ挙句、結局無難に過ごして終わることが多いのだけど・・・。。

滅多にない自由時間だし、貴重な自由な時間なのだから、思いっきり満喫しよう。

ユリアは妙に張り切っていた。

そして、彼女の知らない王宮内では、国を左右するような『ある事件』が起きようとしていた。
その事件が、彼女の人生を左右することとなろうとは・・・。

本人は知る由もなかった。

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