きみいろ~そして二人は恋をする~
父であるカルロス10世には3人の息子がいたけれど・・・。
王たる器に最もふさわしいのはクラウスであると、確信していたそうだ。

彼の持つ鋭い視点は、庶民の始点に立った考え方であり、貴族体制の強いこの王国の中で、そんな目線を持つ者は貴重な存在でもあった。

『その存在を腐らせるわけにはいかない・・・。』

そう思ったカルロス10世は、公務の代行をシェラ姫が行うことを了承し・・・。
秘書官としてクラウスを置くことにしたそうだ。

王太子として、次期国王として自覚が出るようにと・・。

そして、実質的な執務は現在シェラ姫がこなしていて・・・。
クラウスは秘書官として表向き最低限の仕事をしているそうだ。

時々公務について、シェラ姫に振られたことはあるようけれど、
クラウス自分で采配を振るうことはほとんどないらしい。

最近クラウスがした『大きなこと』といえば・・・、
シェラ姫の暗殺未遂の際、ユリアをつれてきた・・と言うことだけだった。

でも、シェラ姫にしてみれば、元医官長ファルカスの娘とはいえ、無位無官の、しかもまだ18歳のユリアに・・。その可能性を見出し、王宮につれてきた・・と言う判断と行動は、驚きのことだったらしい。

キエルさんもこんな状況で、あえて仕掛けたと言うことを後から知ったけれど、
こんな状況で、そんな腹黒いことをしかけるなんて、二人ともとんでもない存在だ。
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