きみいろ~そして二人は恋をする~
三ヶ月前のあの日、目の前にいたクラウスの姿からは想像もできなかった、入れ替わりを続ける理由・・。
それは彼が表舞台に出ることを拒絶したことから始まったらしい。
幼い頃より、人の裏切りや妨害など、彼は人に潜む裏の感情と向き合うことが多々あった。
裏切りにより醜いことを見てきていた。
そして何よりも、『王の側室の息子』という立場は、彼にとって苦痛以外の何ものでもなかった。
自分の身の上が利用され、数々の暗殺未遂を経験して・・・。
彼は自分の王子としての存在に嫌気がさし、すっかり無気力になってしまったのだと言う。
それでも彼はカルロス10世の息子に替わりはない。
そして、彼以外、王太子に立てるものはいなかった。
どんなに逃げても、王子という立場から逃れることはできないし。誰も替わりにはなれない。
そして、王族という責任を捨てることはできない。
一人の王族として、この王国の状況を見ないわけには行かないのだ。