きみいろ~そして二人は恋をする~
そんな存在が、王国最高峰の場所を、偶然とはいえ垣間見たことで、逆に自分の限界に気づけた。

そしてそれは、彼女が成長する一つのチャンスにもなったのだ。

彼女の世界は広がった。

でも世界は広がっても、その世界を広げるための方法や、そこに行く入り口にすら立てない。
そもそも、まだその入り口にすらたどり着けてない。

それが今の現実。

だから最近、クラウスやシェラを見ていると、うらやましくもなってしまうのだ。

彼らには、力がある。
そしてそれを変えるだけの権限も、行動できるだけの力もある・・・。

でもユリアは、自分にある力も権限もない・・。
行動できるだけの力があるかとうかも分からなくなってきていた。

「変えられる力があるのに。それを遣わない人を見ると、逆にうらやましくもあり、憎たらしくもあるんです。
私はどんなに足掻いたって、前に進めないんですから・・。」
「・・・・・・・」
「それに、何時までも王子の友人だから・・って理由で王宮に入らせてもらうのもどうかと思うんです・・。
二人のお陰で王宮内の図書館を利用できるようになったのは、すごくありがたいです。でも、このままじゃイヤなんです・・。父の娘ってだけじゃ、もう駄目なんです・・。」

次のステップに進みたくても進めない、
でもかといって、これ以上二人に頼る訳にはいかない、

そんな、答えの出ない悩みに悶々と嵌っているユリアがいた。
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