きみいろ~そして二人は恋をする~
「うーん、依頼者が依頼者だけに何とかしたいけど、堅実派のユリアちゃんがそういうんじゃなー」
「堅実でないと、評判に関わりますから・・。それに責任の持てないことなんてしたら、父に怒られます。」
「あはは、確かに。ファルカスさんがいても、同じこと言われただろうしね・・・。」
そんなやり取りをしながら、バルドはしばし、顔を下げ、何やら考え始めたようだった。
ユリアの提示した条件が妥当か、否か。実現可能か・不可能か・・・。
バルドは消して無理をしない。
自分の無理は、周囲の評判に関わる。
薬剤師も、薬剤商も運命共同体みたいな物だからだ。
彼はそれを誰よりも知っている。だから無理な冒険に手を出さない。
その堅実さがあるからこそ、数多くいる薬剤商の中で有名でいられるのだろう・・・。
時間にしてそう長くはないが、バルドに答えが出たようで・・・。
そして指をパチンと鳴らし、顔を上げのだ。商談成立!のサインである。
「残りの分は別の人を当たって見るから、半分の量お願いしてもいい?納品は明日の昼頃で?
あと支払い金額は半分量で・・・この程。まずまずの条件だと思うよ。」
中々うまい条件だ。
それなら無理をせず、仕事をこなせるだろう。
ユリアは二つ返事でバルトにこう答えた。
「OK!やってみます。」
「じゃ、よろしく!」
バルトは手を振りながら、中央街に向かっていった。