長男・長女の恋模様―真面目×真面目=?!?
デートなんて昨日が初めてだったのだから、デート用の為準備なんて頭になかった。
「も、もう少し待ってて!」
そう言いおくと、私は出てきた自室に慌ててUターンする。
後ろでクスクス笑う悠斗さんの声が聞こえてくるけれど、何とかそこから意識を剥がして私は綺麗めワンピースやスカートとニット等を鞄に入れていく。
詰め終わると、おずおずと部屋のドアを開ける。
「お、お待たせしました……」
そんな私に、柔らかな笑みを浮かべた悠斗さんは私の手元の鞄を持ち、空いてる手でドアを開けて私を部屋から出るように促す。
「これで大丈夫?ま、足りなくなったら買い物に行こうね」
そして、戸締りとガスの元栓を閉めて、切って大丈夫な電源は落として家を出た。
再び悠斗さんの車に戻ると、車は悠斗さんの自宅へと向かっていく。
初めてのお宅訪問で、そのまま泊まり込むって……。
よくよく考えなくても、早い、よね……?
すぐどうこうはならないとは、言ってくれたけれど……。
とりあえず、その辺は深く考えるのはやめよう。
そうしよう。
車窓を眺めながら、考えていると悠斗さんの丁寧な運転で会社の近くへと向かっていることに気づく。
「悠斗さん、住んでるの会社に近い、の?」
口調に気をつけたら変になったけれど、そこは気にせず悠斗さんが答えてくれた。
「うん、あのマンション」