長男・長女の恋模様―真面目×真面目=?!?
そこに、控え室のドアをノックする音がした。
「梨乃!支度出来た?」
ドアから聞こえてきたのは、麻里花の声だった。
「出来てるわ。どうぞ、入ってきて」
私の返事に麻里花はドアを開けて入って来た。
そんな麻里花は現在お腹周りがふっくらしている。
安定期に入って、現在妊娠七ヶ月。
結婚した時期はそう変わらないのだけれど、このラブラブな麻里花夫妻の元には時期に赤ちゃんが生まれるのだ。
小柄な麻里花のお腹が膨らんでくると、ちょっと大丈夫か心配になるほどだ。
麻里花の後ろから、案の定心配性な専務も顔を出した。
「金山さん、おめでとう。似合ってるね」
そう微笑んで言う専務に私もニコッと返事を返す。
「ありがとうございます。悠斗さんが選んでくれたんですよ」
その私の言葉に麻里花が目を丸くする。
そして、来ているドレスを見て納得した顔をした。
「まったく、お兄ちゃんも独占欲の強いこと。式には
親族しか来ないのにね」
そんな言葉を言って麻里花は笑う。
私が来ているのは、アンティークレースがふんだんに使われたクラシカルな袖付きのドレスだ。
首周りと袖はレース生地だからそこまで暑くないが、きっちり長袖なのだ。
でも、このストレートなアイラインのエンパイア型でレースの袖付きドレスは上品で悠斗さんが見せた中で私も一目で気に入ったドレスだった。
そんなドレスに生花の編み込まれた髪にはロングトレーンのマリアベール。
綺麗に着飾った花嫁の完成である。