長男・長女の恋模様―真面目×真面目=?!?
「まぁ、梨乃にとても似合ってるわね。おめでとう梨乃!先に行ってるね」
そうして麻里花が控え室を出ると入れ違いにうちの家族が来た。
父と母と双子。
私の仕上がりを見て、みんな嬉しそう。
そして、父はここにも愛用のカメラを持参。
私の写真を撮ってくれた。
普段は景色ばかりの写真家の父だが、唯一父の被写体となるのが私たち子どもである。
私達は、いつも父に撮ってもらっていた。
その写真は家族写真でありながら、とても綺麗で思い出深い。
いつも素敵な瞬間を間違いなく写してきてくれた父。
そんな父と世界を点在しつつ、イラストレーターの仕事をしてきた母。
自分の仕事に誇りをもってやってきた父と母は、私にとって憧れで理想。
私には父や、母のような才能はない。
まして由乃や志乃のような被写体になるような才能もない。
でも、私はそんな平凡な自分でよかったとも思えている。
家族は大好きだし、その家族の支えにはなってきたと自負している。
私は、これからは悠斗さんと支えあって新たな家族を作っていく。
願わくば、麻里花のように新たな家族が増えたらいいなと思いつつ。
母にベールを下げてもらった。
そして、チャペルの前に移動する。
「俺達は梨乃に甘えまくってしまったね。俺も母さんも仕事が大好きだから。それを良しとしてくれて、俺や母さんは子ども達に頭が上がらないよ」
父は苦笑しつつ、言った。
「今までありがとう。これからドンドン梨乃らしく幸せになりなさい」
そんな父からの言葉に、私の瞳からひとしずく零れた涙。
「うん。ありがとう、お父さん」