ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「晃一は、優しいね」


その晃一の優しさは、今のあたしにとって凶器だよ。

あの頃、晃一がくれた時間は・・・

あたしにとって、かけがえない過去(時間)だった。

だけど晃一にとっては、生きてきた時間の1つで、特別なことをしたつもりなんて更々ないのだろう。

晃一は、あたしだったから手を伸ばしたわけじゃない。

ただ、偶然・・・

哀れなあたしが、晃一の目に止まっただけの話。

優し過ぎる晃一は、そんなあたしを放って置けなかったんだ。

ただ、それだけのこと・・・

バカじゃん、あたし。


「優しいか?自分じゃ、よくわかんねぇ」


自覚、ないんだね。

あぁ。だから晃一は、偽善者なんだ。

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