ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
心が、一気に冷めていく。

でも晃一が偽善者なら、それはそれで都合が良い。


「晃一。そろそろ、あたし帰えらないと」

「そうだな。遅くなると、おじさんもおばさんも心配するだろうし。送るよ」

「ううん、大丈夫。誰かに見れて、噂とかされたくないから」


あたしの言葉に、晃一は複雑そうなため息を溢す。


「・・・わかった。気をつけて帰れよ」


そんな晃一の言葉に、小さく頷く。

そして小さく手を振り、あたしはその場を後にした。

今のあたしを見たら、キミはどう思うだろう。

でもきっとキミは、こんなあたしを見ても、大好きな笑顔で包み込んでくれるんだろうね。

そして気づけば、家へではなく、導かれるようにある場所へと足は向かっていた。

< 109 / 213 >

この作品をシェア

pagetop