ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
今、全てが繋がってしまった。

画面に映し出された彼女を、あたしは知っている。

でもあたしが知る彼女と、ここに居る彼らが知る彼女は別人だ。

あたしが知る彼女の名は、イチ。

そして彼らが知る彼女の名は、ひかり。

2つの名を持つ彼女は、そのせいで苦しんでいる。

イチが言っていた彼と言うのは、壱也のことだ。

そして彼らと言うのは、ここにいる壱也以外の人間のことなのだろう。


「蓮見?」


何の反応もしないあたしに、千郷が声を掛ける。

なので、視線だけを千郷へと向けた。


「・・・知ってるの?」


その問いに答えずに、あたしは笑い出す。

何が面白いわけでもないが、ただ笑えた。

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