ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「でも、1つだけ教えてあげてもいいよ」


そして、あたしは残酷なことを口にする。


「待ち続けるのは勝手だけど、ここにあの子が戻ることは一生ない。あんた達は、自分達があの子を追い詰めたことにも気付かなかった。あんた達は、ひかりを殺した共犯者。待つことさえ、罪」

「レイちゃん」


仲間を傷付けるあたしを、ハルは止めようとする。


「今のあんた達があの子にできることは、1日も早く忘れて、解放してあげることだけ」

「簡単に、忘れられっかよ!」


壱也が声を荒げる。


「なら、諦めて受け入れなよ。どんなに辛くて、苦しくても、あの子がいない現実を認めなよ。あたし達は、いつもそうやって生きてきた」


これが、あたし達の現実だって···

どんなに足掻いたところで、現実は変わらないって···

何度も諦め、その度に傷を背負い、それでも受け入れて生きてきた。

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