ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
答えに息詰まったあたしは電車を乗り継ぎ、ある場所へと向かった。

子供たちの声が溢れる、スターチアの花が咲き並ぶ公園。


「イチお姉ちゃん」


その子供の声に、自然と視線は引き寄せられる。

最後に見た泣き顔が嘘だったかのように、穏やかな笑みを浮かべ、子供の話に耳を傾けている。

・・・笑ってる。

大好きだった、あの顔で・・・

そして彼女はあたしに気付き、笑い掛ける。


「イチ」


久しぶりに呼ばれたその名に、胸がグッと熱くなった。

子供との話を終わらせ、彼女はこちらへとゆっくりと歩み寄る。


「会いたかった」


あたしの方が彼女を、イチを求めていた。

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