ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
「で、イチはどうするの?」


あたしは···

18歳の誕生日が、この権利を利用できる最初で最後の有効日だ。

この機会を逃したら、生涯その人間として生き続けなければならない。


「あたしは···」


正直、今もまだ揺らいでいる。


「イチの人生だから、自分の気持ちを優先するべきだよ。周りの人間に、左右されることなんてない。もちろん、あたしにも」


イチが、彩華に戻る。

ここであたしも聖華に戻れば、またイチと家族に戻れる。

でも今日まで育ててくれた2人は、どう思うだろう。

イチが居なくなって独りだったあたしを、暗闇から引き上げてくれたのは、他でもない2人だ。

だから晃一や千郷と出会い、そしてハルと出会った。

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