ミラートリック~キミの優しすぎる愛に溺れる~
あたしにとって聖華としての時間より、玲として生きてた時間の方が幸せだった。

このまま玲としての人生を選んだとして、あたしが失うもの(過去)はない。

あたしにとって聖華は、ただただ孤独な時間だった。

だから、あたしの答えは···


「ごめん、イチ。あたし···」

「なんで、謝るの?あたしは過去のイチも、今のイチも知ってる。だから、わかる。イチの決断は、間違ってない。だから、これからも玲として生きた方がいい」


イチの言葉に、涙が溢れる。


「玲。今度会う時は、友達だね」

「ぅん」

「それと、今日でイチは終わりにしよう。今のあたし達は、ちゃんと自分の足で歩ける。あたし達には、もうイチは必要ない」


イチと言う互いの存在は、あたし達を繋ぐ架け橋だった。

でも同時に、哀しみを引き寄せるブラックホール。

過去を捨てて、未来を笑って生きるためには、消さなきゃイケない存在だ。

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